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女性活躍推進法への対応

女性活躍推進法は、近年、女性の職業生活における活躍が一層重要となっていることに鑑み、女性の職業生活における活躍の推進について、事業主の責務や行動計画の策定義務などを定めた法律です。女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進することで男女の人権の尊重、急速な少子高齢化の進展、社会経済情勢の変化(国民の需要の多様化等)に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目的とした、社会的な要請も大きい事由に関する法律であり、確実に義務を果たすことが求められます。

女性活躍推進法に関してIPO準備企業で法令違反が生じやすいのは以下の点です。法令に則り行動計画の作成・届出・公表・周知をしましょう。
 □ 一般事業主行動計画の作成がされていない
 □ 一般事業主行動計画を作成し届出しているが公表・周知をしていない

01.一般事業主行動計画の作成

女性活躍推進法に定められている「一般事業主行動計画」とは、一般事業主(国及び地方公共団体以外の事業主)が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画を言います。
常時雇用する労働者の数が100人を超える(101人以上)場合は、事業主行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画を定め、所轄都道府県労働局長に届け出なければなりません。※変更したときも同様
なお、常時雇用する労働者の数がが100人以下の場合は、それぞれ努力義務とされています。
(女性活躍推進法 第8条)

関係法令

  • 女性活躍推進法 第8条

リーフレット等

02.計画の届出・公表・周知

一般事業主行動計画は以下の手順で行います。(女性活躍推進法 第8条、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画等に関する省令 第1条、第2条、第2条の2、第3条、第4条)

①直近の事業年度における女性の職業生活における活躍に関する状況の把握と分析

採用した労働者に占める女性労働者の割合男女の継続勤務年数の差異労働時間の状況管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合その他のその事業における女性の職業生活における活躍に関する状況を把握し、女性の職業生活における活躍を推進するために改善すべき事情について分析しなければなりません。
具体的には、以下の事項について必ず把握したうえで分析を行わなければならないとされています。
ただし、常時雇用する労働者が300人以下(100人超)の場合、「雇用する男女の賃金の差異」については必須ではありません

  • 採用した労働者に占める女性労働者の割合
  • 男女の平均継続勤務年数の差異
  • 労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間(または健康管理時間)の状況
  • 管理職に占める女性労働者の割合
  • 雇用する男女の賃金の差異

採用した労働者に占める女性労働者の割合と男女の平均継続勤務年数の差異は雇用区分(正社員、契約社員の別など)毎に把握する必要があり、雇用する男女の賃金の差異は労働者毎と雇用区分(正社員、契約社員の別など)毎のそれぞれについて把握する必要があります。
なお、その他の事項についても必要に応じて把握することとされており、計24事項が定めれれています。

②一般事業主行動計画の策定

行動計画には以下の4項目を定めなければなりません。

  • 計画期間
  • 数値目標
  • 取組内容
  • 取組の実施時期

目標については、採用する労働者に占める女性労働者の割合、男女の継続勤務年数の差異の縮小の割合、労働時間、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合その他の数値を用いて定量的に定めなければなりません
具体的には、把握の対象とされている計24事項が、「 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」と「 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」に区分されており、それぞれの区分から1つずつ事項を選択し、計2事項に関する目標設定しなければいけません。
ただし、常時雇用する労働者が300人以下(100人超)の場合は1事項に関する目標設定のみで良いこととされています。
なお、一方の区分の取り組みが進んでおり他方を集中的に実施することが適当な場合は、いずれかの区分から2事項を選択することができます。

③策定した一般事業主行動計画を公表及び労働者へ周知

厚生労働省が運営するウェブサイト「女性の活躍推進企業データベース」に掲載することによって公表することができます。自社のホームページへの掲載などでも可能です。
同時に事業所の見やすい場所への掲示や社内イントラネットにより全従業員に周知もしなければなりません。

④一般事業主行動計画を策定した旨を所轄都道府県労働局長へ届け出

雇用環境・均等部(室)に「一般事業主行動計画策定・変更届」を郵送もしくは持参または電子申請することにより届出ます。※行動計画そのものの届出は不要です

なお、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定した場合の届出と合わせて届出る場合は、一体型の様式を使うことが可能です。
届出事項は以下の通りです。

  1. 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  2. 常時雇用する労働者の人数
  3. 一般事業主行動計画を定め、又は変更した日
  4. 一般事業主行動計画の計画期間
  5. 一般事業主行動計画を定める際に把握したその事業における女性の職業生活における活躍に関する状況の分析の概況
  6. 女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標及び当該取組の内容の概況
  7. 一般事業主行動計画の労働者への周知の方法
  8. 一般事業主行動計画の公表の方法
  9. 一般事業主行動計画を変更した場合にあっては、その変更内容
  10. 女性の職業生活における活躍に関する情報の公表の方法

⑤行動計画の実施

目標の達成は努力義務とされています。

関係法令

  • 女性活躍推進法 第8条
  • 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画等に関する省令 第1条、第2条、第2条の2、第3条、第4条

リーフレット等

書式