トップ IPO準備企業労務サポート 上場企業として遵守すべき内容 次世代育成支援対策推進法への対応

次世代育成支援対策推進法への対応

次世代育成支援対策推進法は、急速な少子化の進行や家庭及び地域を取り巻く環境の変化を背景に、次世代育成支援対策に関し、事業主の責務や行動計画の策定義務などを定めた法律です。
次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進し、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資することを目的とした、社会的な要請も大きい事由に関する法律であり、確実に義務を果たすことが求められます。

次世代育成支援対策推進法に関してIPO準備企業で法令違反が生じやすいのは以下の点です。法令に則り行動計画の作成・届出・公表・周知をしましょう。
 □ 一般事業主行動計画の作成がされていない
 □ 一般事業主行動計画を作成し届出しているが公表・周知をしていない

01.一般事業主行動計画の作成

次世代育成支援対策推進法に定められている、一般事業主行動計画とは、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって定める計画です。
常時雇用する労働者の数が100人を超える(101人以上)場合は、行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画を定め、公表し、労働者に周知し、所轄都道府県労働局長に届け出なければなりません。※変更したときも同様
なお、常時雇用する労働者の数がが100人以下の場合は、それぞれ努力義務とされています。
(次世代育成支援対策推進法 第12条、次世代育成支援対策推進法施行規則 第1条)

関係法令

  • 次世代育成支援対策推進法 第12条
  • 次世代育成支援対策推進法施行規則 第1条

リーフレット等

02.計画の届出・公表・周知

一般事業主行動計画は以下の手順で行います。(次世代育成支援対策推進法 第12条、第12条の2、次世代育成支援対策推進法施行規則 第1条の2、第1条の3、第1条の4、第2条の3)

①直近の事業年度における労働者の職業生活と家庭生活との両立に関する状況の把握と分析

取得の状況及び労働時間の状況を把握し、労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために改善すべき事情について分析しなければなりません。
具体的には、以下の事項について把握し分析

  • 男性の育児休業取得率(配偶者が出産した男性労働者の人数に対する育児休業等を利用した男性労働者人数の割合または配偶者が出産した男性労働者の人数に対する育児休業等およびを小学校就学の始期に達するまでの子の育児を目的とした休暇制度を利用したものの数の合計数の割合)
  • 労働者(短時間労働者を除く)1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数等の労働時間(または健康管理時間)の状況↓

➁一般事業主行動計画の策定

計画で定めるべき事項は以下の通りです。

  1. 計画期間
  2. 目次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標
  3. 実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期

計画期間の設定と目標の決定、目標を達成するための対策を立てていきます。
目標は分析した結果を勘案して定めなければなりません。
このとき、労働者の育児休業等の取得の状況及び労働時間の状況に係る数値を用いて定量的に定めなければなりません
また、くるみん認定を希望する場合は、認定基準を踏まえ策定する必要があります。
どの様な目標を設定するかについては、行動計画策定指針の「六 一般事業主行動計画の内容に関する事項」に掲載されている項目が参考となります。

③策定した一般事業主行動計画を公表及び労働者へ周知

公表は、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」に掲載することによって公表することができます。自社のホームページへの掲載などでも可能です。同時に事業所の見やすい場所への掲示や社内イントラネットにより全従業員に周知もしなければなりません。
なお、くるみん認定の申請等で公表・周知をした日付が分かる書類を求められますので、記録を残しておく必要があります。

④一般事業主行動計画を策定した旨を所轄都道府県労働局長へ届け出

雇用環境・均等部(室)に「一般事業主行動計画策定・変更届」を郵送もしくは持参または電子申請することにより届出ます。※行動計画そのものの届出は不要です
なお、女性活躍推進法に基づく行動計画を策定した場合の届出と合わせて届出る場合は、一体型の様式を使うことが可能です。

⑤行動計画の実施

目標の達成は努力義務とされています。

関係法令

  • 次世代育成支援対策推進法 第12条、第12条の2
  • 次世代育成支援対策推進法施行規則 第1条の2、第1条の3、第1条の4、第2条の3

リーフレット等

様式

<女性活躍推進法と一体型の届出を行う場合の様式>