トップ IPO準備企業労務サポート 上場企業として遵守すべき内容 外国人の雇用

外国人の雇用

外国人の雇用には、技能実習生として受け入れる場合や就労可能な在留資格を有する者を雇入れる場合がありますが、いずれも法律で定められたルールに沿って行う必要があります。
不法な就労が行われることが無いよう、就労要件を満たしているか否かを十分に確認する必要があります。

外国人の雇用に関してIPO準備企業で法令違反が生じやすいのは以下の点です。法令に則り外国人の雇用と報告をしましょう。
 □ 在留資格により定められた範囲で就労させていない
 □ 雇用保険の対象とならない外国人を雇用しているが外国人雇用状況届出書の提出をしていない

01.技能実習生の受け入れ

外国人技能実習生の受け入れ方式には、企業単独型団体監理型の2つのタイプがあります。(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 第2条)

企業単独型:日本の企業が海外の現地法人や合弁企業、取引先企業の常勤職員を直接受け入れる方式
団体監理型:事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方式
日本では、団体監理型がそのほとんどを占めています

実習実施者は、技能実習計画を作成し、その技能実習計画が適当である旨、外国人技能実習機構の認定を受けなければなりません。(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 第8条、第12条、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則 第7条)
技能実習計画に記載すべき事項は以下の通りです。

  1. 申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  2. (申請者が法人の場合)その役員の氏名及び住所
  3. 技能実習を行わせる事業所の名称及び所在地
  4. 技能実習生の氏名及び国籍
  5. 技能実習の区分
  6. 技能実習の目標、内容及び期間
  7. 技能実習を行わせる事業所ごとの技能実習の実施に関する責任者の氏名
  8. 団体監理型技能実習に係るものである場合は、実習監理を受ける監理団体の名称及び住所並びに代表者の氏名
  9. 報酬、労働時間、休日、休暇、宿泊施設、技能実習生が負担する食費及び居住費その他の技能実習生の待遇
  10. その他主務省令で定める事項(下記)
    • 1.実習実施者届出受理番号(既に実施の届出を行っている場合)
    • 2.(法人の場合は)その役員の役職名及び法人番号
    • 3.申請者の業種
    • 4.技能実習責任者の役職名
    • 5.技能実習指導員及び生活指導員の氏名及び役職名
    • 6.技能実習生の生年月日、年齢及び性別
    • 7.第三号技能実習に係るものである場合は、次のいずれかに該当する事項
      • イ 第二号技能実習の終了後第三号技能実習の開始までの間に本国に一時帰国した場合又は一時帰国する予定である場合にあっては、その一時帰国の期間又は一時帰国する予定の期間
      • ロ 第二号技能実習の終了後引き続き第三号技能実習を開始してから一年以内に技能実習を休止して一時帰国した後、休止している技能実習を再開する予定である場合にあっては、その一時帰国する予定の期間
    • 8.第二号技能実習に係るものである場合は第一号技能実習に係る技能実習計画、第三号技能実習に係るものである場合は第二号技能実習に係る技能実習計画において定めた目標の達成状況
    • 9.団体監理型技能実習に係るものである場合は、監理団体の許可番号、許可の別、監理責任者(法第四十条第一項に規定する監理責任者をいう。以下同じ。)の氏名、担当事業所の名称及び所在地並びに技能実習計画の作成の指導を担当する者の氏名
    • 10.団体監理型技能実習であって取次送出機関があるものに係る場合は、当該取次送出機関の氏名又は名称

関係法令

  • 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 第2条、第8条、第12条
  • 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則 第7条

リーフレット等

書式

02.在留資格の確認

外国人は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)で定められている在留資格の範囲内において、我が国での活動が認められています。現在、在留資格は27種類ありますが、就労の可否に着目すると次の3種類に分けられます。(出入国管理及び難民認定法 第2条の2)

  1. 在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格18種類(技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、技能等)
  2. 原則として就労が認められない在留資格 5種類(文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在)
  3. 就労活動に制限がない在留資格 4種類(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)

適切な資格がない者は就労することができないため、外国人を雇い入れる際には、就労が認められる状態にあるかどうかを事前に確認する必要があります。

関係法令

  • 出入国管理及び難民認定法 第2条の2

リーフレット等

03.外国人雇用状況の届出

外国人を雇用する事業主には、外国人労働者の雇入れおよび離職の際に、その氏名、在留資格などについて、ハローワークへ届け出ることが義務づけられています。対象は日本の国籍を有しない、「外交」「公用」以外の在留資格により在留する者であり、「特別永住者」は届出の対象にはなりません。届出の方法は、雇用保険の被保険者となる場合とならない場合で異なります。

【雇用保険の被保険者になる場合】

雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険被保険者資格取得(喪失)届の手続きが、外国人雇用状況報告書の届出手続きを兼ねることとなります。ただし、雇用保険被保険者取得(喪失)届の「備考欄」に以下の内容を記載しなければなりません。

  1. 在留資格
  2. 在留期間
  3. 国籍・地域
  4. 資格外活動許可の有無

届出の期限は雇用保険の届出と同様ですので、雇入れの場合は翌月10日まで離職の場合は翌日から起算して10日以内となります。

【雇用保険の被保険者にならない場合】

雇用保険の被保険者とならない外国人については、「外国人雇用状況届出書」に以下の内容を記載し届け出なければなりません。

  1. 氏名
  2. 在留資格
  3. 在留期間
  4. 生年月日
  5. 性別
  6. 国籍・地域
  7. 資格外活動許可の有無

「外国人雇用状況届出書」は、雇入れの場合も離職の場合も翌月末日が届出期限となります。雇用保険被保険者資格取得(喪失)届とは届出期限が異なりますので注意が必要です。

関係法令

  • 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第28条
  • 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則 第10条、第11条、第12条

リーフレット等

書式