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ハラスメントへの対応

パワーハラスメントセクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント育児・介護制度の利用等に対するハラスメントに関しては、その防止を目的として「事業主が雇用管理上講ずべき措置」が定められています
根拠となる法律および指針は、それぞれ独立しているものの、措置内容は共通しており、以下の4つです。

  • 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
  • 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
  • 併せて講ずべき措置 (プライバシー保護、不利益取扱いの禁止、マタニティハラスメントや育児・介護に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置等)

その他、努力義務や望ましいとされる措置も示されているため、具体的な対応方法を確認していくことが重要です。(労働施策総合推進法 第30条の2、男女雇用機会均等法 第11条、第11条の3、育児・介護休業法 第25条)

ハラスメントへの対応に関してIPO準備企業で法令違反が生じやすいのは以下の点です。法令に則り適切な対応をしましょう。
 □ 相談窓口の設置や周知がされていない
 □ ハラスメント研修等のハラスメントの発生を防止するための措置が講じられていない

01.会社方針の明確化

会社方針の明確化及びその周知・啓発の具体的な内容は以下の通りです。

  1. ハラスメントの内容、原因や背景となり得ること及びハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
  2. ハラスメントを行った者に対し、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則等の「文書」に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること

また、マタニティハラスメント、育児・介護に関するハラスメントについては、妊娠・出産・育児・介護にかかる制度等の利用ができる旨も明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発しなければなりません。

関係法令

  • 労働施策総合推進法第 第30条の2
  • 男女雇用機会均等法 第11条、第11条の3
  • 育児・介護休業法 第25条

リーフレット等

02.相談窓口の設置

相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備として、相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、労働者に通知する必要があります。
そして、相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるように準備しておき、現実にハラスメントが生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、これらのハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応しなければなりません
相談窓口での対応が、事業主が雇用管理上講ずべき措置の一つである、 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応に繋がります。
また、併せて講ずべき措置には、相談者や行為者のプライバシー保護や、相談・事実確認への協力による不利益取扱いの禁止が含まれるため、相談窓口担当者は十分に法律を理解して対応する必要があります。
なお、各種ハラスメントについて一元的な相談体制を整備することが望ましいとされています。

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03.ハラスメント防止のための研修等の実施

ハラスメントに関する会社方針ハラスメント防止に向けた対策や体制・窓口ハラスメントの内容及び発生原因や背景に関する情報等を周知・啓発する手段として、研修の実施は非常に有効です。
事業主は、各ハラスメントに関係する言動問題に対する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる措置に協力するよう努めなければならないとされています。(労働施策総合推進法 第30条の3、男女雇用機会均等法 第11条の2、第11条の4、育児・介護休業法 第25条の2)
また、義務的措置の具体的な対応に加え、努力義務としても実施することが求められています。

実施方法は単に講義形式とするのではなく、グループワーク・ロールプレイングを通して、「考えさせる」工夫が重要です。ハラスメントを行ってしまった際の法的責任についても十分に理解できるよう研修内容を構成する必要があります。

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