すべての事業主に対し法定雇用率を満たす人数の障害者を雇用することが義務付けられています。
雇用人数が変動したことによって、法定雇用率を下回ることが無いように対応すべきことが義務付けられているものであるため、常に法定雇用率を上回る様な人数の障害者を雇用していなければなりません。
特に小規模事業においては、少人数の雇用変動であっても法定雇用率を下回る状況となってしまう可能性が高いため、雇用人数の管理には十分に留意する必要があります。
障害者の雇用に関してIPO準備企業で法令違反が生じやすいのは以下の点です。法令に則り障害者の雇用と報告をしましょう。
□ 法定雇用率を満たす人数の障害者を雇用していない
□ 障害者雇用状況報告書の提出をしていない
01.法定雇用率
法定雇用率とは、事業主が常時雇用している労働者のうちに占めるべき雇用障害者数の割合のことを指し、すべての事業主に対し法定雇用率を満たす人数の障害者を雇用することが義務付けられています。
すなわち「雇用障害者数÷常時雇用する労働者≧法定雇用率」となるような人数の障害者を雇用する必要があります。
※雇用関係の変動(雇入れや解雇)に際して法定雇用率を上回る様に対応しなければならないことを義務付けたものであるため、常に法定雇用率が上回る様に余裕をもって対応することが重要です。
「常時雇用する労働者数」には期間の定めがある労働者であっても、過去1年以上引き続いて雇用を継続している者や1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者も含まなければなりません。。
なお、「雇用障害者数」は所定労働時間数や障害の程度や種類により1人を「0.5人~2人」としてカウントする場合があります。
※障害の程度等に関わらず、週の所定労働時間が10時間未満の者は0人でカウントします。
(障害者の雇用の促進等に関する法律 第43条、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則 第5条、第6条、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令 第9条、第10条)
関係法令
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第43条
- 障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則 第5条、第6条
- 障害者の雇用の促進等に関する法律施行令 第9条、第10条
リーフレット等
02.障害者雇用状況報告書の提出
雇用する労働者の数が常時40人以上である事業主は、毎年1回、対象障害者である労働者の雇用に関する状況を厚生労働大臣に報告しなければなりません。
これは、雇用する労働者の数が常時40人以上であるれば、法定雇用率を満たすために必要な雇用障害者数が1以上となり、障害者の雇用義務が生じるためです。
実際の対応としては、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況を毎年7月15日までに所轄のハローワークに報告します。
(障害者の雇用の促進等に関する法律 第43条第7項、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則 第8条)
関係法令
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第43条第7項
- 障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則 第8条
リーフレット等
書式
03.障害者職業生活相談員の選任
障害者が職場に適応し、また、その能力を最大限に発揮できるよう、障害特性に十分配慮した適切な雇用管理を行うことを目的として、障害者を5人以上雇用する事業所では「障害者職業生活相談員」を選任しなければなりません。
障害者を新たに雇い入れたことにより、5人以上雇用するすることとなった場合は、その日から3か月以内に選任する必要があります。
選任後は、所轄のハローワークに「障害者職業生活相談員選任報告書」を届け出る必要があります。
障害職業生活相談員は以下のいずれかの要件を満たす者の中から選任しなければなりません(障害者の雇用の促進等に関する法律 第79条・障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則 第38条、第39条、第40条)。
- 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する「障害者職業生活相談員資格認定講習」を修了している
- 大学等卒業後、1年以上障害者である労働者の職業生活に関する相談及び指導の実務に従事した経験がある
- 3年以上、障害者である労働者の職業生活に関する相談及び指導の実務に従事した経験がある 等
障害職業生活相談員の具体的な職務は以下とされています。
- 障害者の適切な職務の選定、能力の開発向上等障害者が従事する職務の内容に関すること
- 障害者の障害に応じた施設設備の改善など作業環境の整備に関すること
- 労働条件や職場の人間関係等障害者の職場生活に関すること
- 障害者の余暇活動に関すること
- その他障害者の職場適応の向上に関すること
関係法令
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第79条
- 障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則 第38条、第39条、第40条